プロットそのものは書き方に決まりはなく、書かないという方もおられるぐらいフリーダムな世界です。それゆえ、他の誰かのプロットの書き方を見るとびっくりする新発見があるかも。
というわけで今回は、世の物書きさんたちがしているプロットの書き方のうち比較的メジャーと思われる方法をツール別に4つ紹介し、それぞれのメリットとデメリットをまとめています。
また、大変見にくくて恐縮ではあるのですが、手元にある本にプロの脚本家さんのプロットが載っていましたので写真で紹介しています。
小説と違うところもあるかと思いますが、やはりプロの方の創作の仕方というのはジャンルを問わず興味深いものです。
↓こちらの本から写真を掲載しました。写真が非常に見にくくてすみません…。
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目次
この記事の見どころ
書く人- 各プロットの書き方に加え、プロの作家さんのプロットもご紹介します。眺めているだけでも興味深いです。
- PC派の方にオススメ、プロットだけでなく登場人物、世界観、起承転結などの作成が容易になるテンプレートをご紹介します。登場人物設定がまるで履歴書のよう作り込めるなど、使いやすい内容です。
読む人
- 古沢良太さん、三木聡さん、筧昌也と人気脚本家の方のプロットを写真で掲載しました。小説を書かない人にとっても、制作舞台の裏側は興味深いものとなっています。
ノートに手書き
まずは王道ともいえるのではないでしょうか、ノートに手書きをしていくスタイルです。管理人もこの方法をとっています。まずはメリットとデメリットについて考えてみたいと思います。
メリット
まずメリットについてですが、自由度の高さは大きな点だと思います。手書きであれば、縦書きにしたり横書きにしたり段組みをしたり、絵でイメージを描いてみたり、さっと強調のための吹き出しを書いてみたりが思いのままです。もちろんワードやエクセルでもこれらの編集は可能ですが、思いつくがままに自由自在にできるということは意外と少ないのではないでしょうか。
PCのスキルにもよると思いますが、やはりイメージ通りに書き表せるという点では手書きが最強と思われます。
また、ノートの場合見開きで得られる情報量の多さも利点と言えます。PCやタブレット、スマホの場合、画面上では見渡せる範囲が限られてしまい、細部を見ることはできても大局的に見ることはノートに分があるように思います。
パラパラとめくってサッと情報を拾えることもノートの利点です。もちろん、検索が使えないという点は弱さとなりますが。
また、これを利点と思う人は少ないかもしれませんが、形があるものに残るという点も魅力だと管理人は考えています。ノートが自分の書いたもので埋め尽くされ、手元に残っていくと満足感があります。
また、少しいいノートを買ってみたり、1つの作品につき1冊のノートを当ててみたり…アイテムに凝るのも案外楽しかったりします。せっかくならただ書くだけではなく、楽しみながら書きたいもの。
個人的な感想ですが、ノートにはデジタル媒体にはない魅力もあると思います。
デメリット
ノートを使う場合の最大のデメリットは修正の難しさです。管理人はカッコをつけて万年筆で書いていますが、そうすると雰囲気は出るのですが修正がしづらいです。シャーペンやフリクションを使ったとしても跡が残ったり消しカスが出たりと、デジタルの便利さと比べると弱さがあります。
そしてなんといっても、時系列の入れかえが難しい!プロットの段階では書いたシーンの順番を入れ替えたいといったことはよくあります。というか、プロットにおいてシーンの順番決めは重要な作業の1つだと思われます。
ですが、ノートに書いていった場合はこの入れかえが非常にしづらいです。矢印を書いてみたり、番号を振ってみたり、ページを切り貼りしてみたりといったところが方法でしょうか。ですがどれもスマートで見やすく、とはいかない方法です。
この、アナログ派にとっての大きな悩みを解消するのはこの後に出てくるリングカード法ということになります。管理人も初めて聞いたときはなるほどと思いました。リングカード法についてはまた後ほど。
プロの脚本家のプロットノート
実際のところ、プロの方はどのようにノートでプロットを書いているのでしょうか。非常に見にくくて恐縮なのですが、手持ちの本の中から、プロの脚本家の方が書いたプロットノートがありましたので参考までの載せておきます。紹介するのは映画ではALWAYS 三丁目の夕日・キサラギ・寄生獣など、ドラマでは相棒シリーズ、リーガルハイなど数々の人気作品を手掛けた脚本家の古沢良太さんのノートです。
テレビドラマ、ゴンゾウ 伝説の刑事の第三話の構想が書かれています。


画像の見にくさは触れだすとキリがないのでツッコまないこととさせて頂いて、いかがでしょうか? この二枚だけでも、ノートの利点が感じられます。
1枚目では自由に枠組みを作りながら書くことで、直感的に構成がつかみやすい一枚になっています。二枚目に関してはイラストも登場しました。
このように、自由にイメージを膨らませたり付け加えたりといったことがしやすいのが手書きのメリットといえます。
ノートのまとめ
メリット- 自由度の高さ
- いつでもどこでも、思いついたらすぐに書き足せる
- 一目で得られる情報量の多さ
- ノートが形に残ることの達成感、アイテムに凝ることの楽しさ
デメリット
- 量を書こうと思うと手が疲れる
- 修正がしづらい。特に時系列の入れ替えなどはデジタルにはかなわない
- 読みづらい字だと後から情報が拾えない場合も
- 検索機能が使えない
リングカード式
続いてはこちら、リングカード式プロット作成法。リングカードといえばテスト勉強や資格試験などでお世話になったという方も多いのではないでしょうか。↓なにかと暗記のときに活躍するこれです。
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このリングカードに、ストーリー進行を書きこんでしまおうという方法です。そのメリットはなんといってもシーンの順番の入れかえが容易にできるということ。
手書き派の最大の難点である、順番の入れかえもリングカードなら簡単。カードを並び替えてしまえばいいわけですから。
デメリットとしては、一枚に書きこめる情報量の少なさが挙げられます。いくら大判のものを使っても、ノートやPCと比べるとどうしても限界があります。
プロットに書くのはシーンの箇条書きで十分!という方には便利な方法といえます。また、メインの方法としてノートを使い、シーンの順番の整理にリングカードを使うという方法は有効な組み合わせです。
そういう意味では、単独で使うというよりほかの方法と組み合わせることでより強みがでてくる方法といえるかもしれません。
リングカード法のまとめ
メリット- 手書きでありながら、シーンの順番の入れかえが容易
デメリット
- 書きこめる量に限界がある
- シーンを箇条書きする程度でいい、という人以外はほかの方法との併用が必須
- 見直すにはめくって確認する方法があるため、全体像の把握や検索性は劣る
Word、テキストファイルなどの文字ファイル
続いてはこちら。パソコンなどを使い、文字列としてプロットを打ち込んでいく方法です。ワードやテキストファイル、エバーノートといったアプリを使う場合もここに入るでしょうか。この記事では便宜上、Wordに呼び方を統一して扱わせて頂きます。
この方法についてもメリットとデメリットから考えていきます。
メリット
この方法の最大の利点としては、手書きと比べて修正がしやすいという点があげられます。手書きの弱点だった、直したい部分の修正や順番の入れかえはお手のもの。コピー&ペーストができればそれほどPCスキルがなくても書き上げることができます。また、同じデジタル媒体となるエクセルなどの表計算ソフトと比べると、いきなり文字を打ち始められるという敷居の低さも利点といえます。エクセルの場合は、元のフォーマットのまま打つのではなくある程度体裁を整えることでメリットが生まれます。
体裁を作る時間が惜しい!という方にはすぐに打ち出せるこの方法の方が合います。
デメリット
デメリットとしては、直感的に全体を把握しやすいプロットを作るのが難しいという点があげられます。手書きと比べてもエクセルと比べても、表や矢印、フローチャートなど見たまま分かりやすい装飾に関しては劣るところがあります。また、時系列としてストーリー構成などを追うには分かりやすいですが、途中で脇の情報を小さく差し込んだり、1つの時系軸の中で複数の視点からの出来事を書くといった少しイレギュラーな書き方にも対応がしづらいです。
手書きであれば書き込み、エクセルであれば列を増やすといったことでこれらの事態には対応しやすいといえます。
プロのWordプロット
ここでも、プロの脚本家の方のプロットを見ていきたいと思います。今度はお二方。一枚目のプロットは、映画では亀は意外と速く泳ぐ、図鑑に載ってない虫、インスタント沼などを、ドラマでは時効警察はじめましたなどを手掛けた三木聡さん。二枚目は、世にも奇妙な物語でも放送された美女缶など数多くの映像作品を手掛けられた筧昌也さんのプロットです。


二人の作家さんのプロットを並べたわけですが、よく見てみると書き方はかなり異なることが分かります。
三木聡さんはアイデアを断片的に並べたようなものから始まっています。箇条書きのメモ集といったスタイルにみえます。本の中では、ここからいくつかの段階を経て脚本へと移っていくことが書かれていました。
筧昌也さんのプロットは、かなり具体的です。物語の流れはもちろんのこと、それぞれのシーンのカメラ割や一部ではありますがセリフまで書かれています。
まさしく設計図ともいう様相です。いきなり誰かに手渡したとしても、ある程度イメージを共有した映像作品が作れそうなほど。
同じプロの脚本家の方でも、完成形に至るまでの道のりはこれだけ様々というわけです。箇条書きでも細部まで書き込まれたものでも、どれが正解と決まっているわけではないと分かります。
Word使用のまとめ
メリット- 手書きと比べて修正が容易
- Excelと比べ、テンプレートは不要であり使い始めるときの敷居が低い
デメリット
- 直感的に概要をつかむプロットは作りづらい
- 1つのシーンを他視点から語る、伏線を挟むなど脇の情報が挿入しづらい
Excelなどで表作成
最後は表計算ソフトを使ったプロットの書き方です。例によって便宜上、呼び方をExcelで統一させて頂きます。管理人にはこの発想はなく、話に聞くのも初めてでした。この方法を知ったのは当サイトが相互リンクさせて頂いている読み速さんの記事の中からでした。
いろいろな方のプロットの書き方についてのツイートをまとめた記事ですね。とても興味深い記事ですが、この中で登場したのがExcelを使った方法というものでした。
と一口にいっても、これまた使い方は人それぞれのよう。何か分かりやすい例はないかと調べてみたところ…
検索するとけっこう実際に使っているという方の記事が出てきます。たとえばこちらのサイトでは、Excelでプロットを組み立てられるシートを公開しています。
来世はもっと生きやすい世界
キャラクター設定書、世界観、プロットなど自分用に作成いたしました。 小説やマンガなど様々な創作活動にお使いください。 グ…
プロットだけでなく、キャラクター設定やテーマ、起承転結といったページもありこれ1つで小説の枠組みをカバーできそうな優れた出来映えです。
管理人もダウンロードさせて頂きましたので、その中身を少しご紹介。




すご…プロットのテンプレートをご紹介するつもりでしたが、完成度が高すぎて驚きましたので、他のシートも掲載させて頂きました。
ときどき、登場人物の設定は履歴書のように書くといいという技法を聞きますが、画像3枚目のキャラクター設定などはまさしく履歴書のようです。
ここでは全部は紹介しきれておらず、実際には項目ももっと多様にあります。とても実用性の高いシートと思われますので、気になる方はぜひリンク元の呉西しのさんが作られたシートをダウンロードしてみるといいですね。
メリット
さて、話をプロットの件に戻します。画像でいうと4枚目がストーリー進行表であり、プロットといえます。なるほど、Excelで項目を分けることで、シーン毎に入れたいものや読者に見えないところで起こっていることなどが分かりやすく管理できるわけですね。Excelの活用の仕方ももちろん自由に決めてよいものですが、この一例を見るだけでも項目を分けてプロットを作ることのメリットは十分感じられます。
デメリット
反面、このテンプレを作るということ自体が手間と感じる方もいらっしゃるかもしれません。一度完成してしまえばよいですが、試行錯誤のしすぎでそちらに時間をとられては本末転倒です。このあたりはその方のPCスキルや、作りたい雛形のイメージにもよってくるかと思います。
また、思いつくままにアイディアを書き連ねていくというスタイルには手書きやWordの方が合っているといえます。
Excelのまとめ
メリット- 項目を分けることで情報の整理がしやすい
- 項目が決まっていることで、内容のブレ、見落としが出にくい
- セルを切り貼りすることでシーンの入れかえが容易
デメリット
- 自分にあったテンプレートを作るまでに時間がかかるかも
- アイディアを羅列したり大まかな概要だけを書いていくスタイルの人には効率が悪い
まとめ
小説のプロットの作り方を、4つのタイプに分けてご紹介しました。実際にはそれぞれをミックスして使うという方も多く、書き方にも個性が表れます。いずれにしても、プロットはあくまで設計図であり小説の本編ではありません。プロットを書かずに原稿を書き始めるという方も多くいるように、プロットの質が本編の質と直結するとは限らないということです。
プロットの方法論にはこだわらず、自分なりにこれが合うかなという方法が見つかったら、早々に書き始めてしまうことが得策ではないかと、管理人は考えています。
本日の記事はここまでです。最後まで読んで下さりありがとうございました!@結婚相談所の担当者に鼻で笑われる管理人kei
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