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どうせ懐かしい作品について触れるなら、人生で初めて読んだ小説について書いてみよう!
と思い立ち、記憶を掘り起こしたところ出てきたのが今回取り上げる「クレヨン王国の十二か月」。
細かくいうと児童文学作品というジャンルになるのかもですが、れっきとした文字オンリーの作品ですからね。小説にカウントさせて頂きました。
これを読んだのは記憶の限りでたぶん7才ぐらいのころ。クレヨン王国のシリーズはたぶんほとんどが本棚に並んでいたのではないかと思うのですが、なぜか1作目のこれだけ何度も繰り返し読んだ記憶があります。
一体この作品の何がそんなに7歳男児の心をつかんだのか…作品の魅力を紐解いてみたいと思います。
目次
作品概要
クレヨン王国の十二か月 / 福永令三 1965年発売さて、これまでの記事だと、当時の時代背景と作品の関連など含めつつ紹介していくわけですが…
発売当時、管理人はまだこの世におらず。語りようもない。大ピンチ。ていうか1965年て、マジかyo。2020年の現在からみれば55年前の作品になるんですね…想像していたよりもさらに大ベテランな作品でした。
仮に10才のときにこの本を読んでいたお子さんは、現在65歳ですよ。アカン、定年退職してしまう!
ちなみに所ジョージさんやでんじろう先生、佐野史郎さん、明石家さんまさん、上沼恵美子さんらが今年65歳だとか。え、並べたラインナップの方たちが若すぎてびっくり。
意外と65歳って若い…?と、イメージしやすく芸能人の方を並べた結果よけい混乱することに。
芸能人、全員妖怪説
ともかく、全くもって古臭さを感じた記憶はないですが、管理人が読んだ当時を1995年前後と仮定してもこの時点で発売から30年ほど経過していたんですね。
さらに驚くべきことに、現在も新装版が刊行され続けているという化け物コンテンツなのでした。
↓オジサンとしてはどうしてもコレジャナイ感がしてしまう新装版
リンク
あらすじ (Amazon商品紹介欄より)
大みそかの夜、ユカが目をさますと、12本のクレヨンたちが会議をひらいていた。クレヨン王国の王さまが、王妃のわるいくせがなおらないうちはかえらない、といってゆくえをくらましたのだ。おどろいた王妃は、ユカといっしょに王さまをさがしもとめて、ふしぎな旅に出る。
なるほど…あらすじを読んでおぼろげながら思い出してきました。ポイントは、『王妃の悪いクセが直らないうちは帰らない』(すみません、漢字を当てさせて頂きました)というところ。
王妃は12の『悪いクセ』をもっており、12か月間の旅のなかで1つずつクセを直していくという構成になっていたと思います。
そのクセというのが、なかなかに人間臭いクセで………なんだっけ。
……ちょっと、さすがにあまりにも思い出せないところが多いので↓のブログ様に助けを求めました。
王妃のクセはなになに…
一、ちらかしくせ。二、おねぼう。三、うそつき。四、じまんや。五、ほしがりぐせ。六、へんしょく。七、いじっぱり。八、げらげらわらいのすぐおこり。九、けちんぼ。十、人のせいにする。十一、うたがいぐせ。十二、おけしょう三時間。
そうそう!こんな感じでした! これを王妃が直していく旅なわけですが、こうやってみると児童文学らしい道徳や学びが詰め込まれている本なんですね。
誰にでもありそうな、自分でも分かっているけど変えられない弱みと向き合う。そして、大切なもののために克服していく。
メルヘンチックな世界観の中に、人間らしさ、弱さ、魅力がさり気なく盛り込まれているところなどは、星の王子様とも共通しており児童文学の魅力といえるかもしれん。
管理人とクレヨン王国の十二か月
辻村深月さんもこのシリーズを幼いころに読んでいたとのことで、少しうれしくなった管理人です。さて、管理人とこの本の出会いですが、誰が買ったのかは不明なんです。物心ついたときから部屋の本だなにズラーっと並んでいましたからね。
このシリーズ、ざっと30冊以上はあるようです。そうやって思うとさすがに全巻は部屋になかったかもしれない…それでも間違いなく10冊以上はありました。
あの本はどこから来たのかと考えてみましたが、もしかしたら祖母の影響かもしれません。
祖母は、瀬戸内海に浮かぶ島で公民館の館長をしていたんです。
公民館に来た子どもたちにオススメするためか、ばーちゃんちにはたくさんの児童文学書がありました。
thank you ばーちゃん!
地獄先生ぬ~べ~やら、ラッキーマンやらマキバオーやら、後にコミックが管理人の本だなを埋め尽くしていくわけですが、それでも変わらずクレヨン王国のコーナーはあり続けました。
そして、何度も読み返しました。
当時、我ながら不思議に思っていたのはどうしても2作目に読み進まないこと。
2作目はクレヨン王国の花うさぎですね。あと、クレヨン王国のいちご村…間違いなく手にとった記憶があります。
これらを何度となく読んでみようとするわけですが…気が付くとクレヨン王国の十二か月に戻ってしまうんです。
2冊目以降が面白くないわけじゃありません。ただ、2冊目以降を読み始めると、たまらなくまたクレヨン王国の十二か月に会いたくなってくるんです。
結局、十二か月ばっかり読んで2冊目以降を読み切ったことはありませんでした…今思えば、それでも読んでみればよかったかも。
ともかく、管理人は自分でいうのも何ですが文章を書くことは得意な方だと思っています。何より、好きです。
そのベースは、幼いころに本棚を埋め尽くしていた児童書の数々にあるのではないかと思うのです。
管理人の当時の部屋は三畳のタタミ部屋で、机と本棚を置けばいくら小学生でも圧迫感のあるほどのスペースでしたが…
今思うと恵まれた環境にいたんだなあとシミジミ思います。
ばーちゃん全部読めずすまん & もう一回thank you!
なぜ「十二か月」が心を惹きつけたんだろう
いってみれば幼心の食わず嫌いのところもあったのか、結局管理人は十二か月以降の作品を読みませんでした。そうまでして惹きつけた、クレヨン王国の十二か月の魅力…それは、今思えば子ども心をくすぐる彩りの美しさと、多彩な冒険の数々ではないかと思います。
クレヨン王国には、一月から十二月までの町がありそれぞれに色分けもされているんです。
次に出てくるのはどんな町だろう…と、十二色の大臣とともに出かける旅は、もちろん文字だけなんですけど鮮やかで。
それでいて、時としてシリアスで緊張感のある場面も。まさしくハラハラドキドキの十二か月間の追体験に夢中だったんだと思います。
作者 福永令三さんについて
作者の福永令三さんについても焦点を当てたいと思います。福永令三さんは、クレヨン王国の十二か月が刊行される9年前、1956年に赤い鴉で、オール讀物新人賞を受賞されています。
オール讀物ということは、始めから児童文学の作品を書いていたわけではなかったのかもしれません。この赤い鴉、調べてみても全く情報が出てこず…書籍化されていたのかも定かではないです。
そして1965年にクレヨン王国の十二か月が刊行…されるわけですが、人気作となったのは1980年に青い鳥文庫からソフトカバー版が出てから。
人気作と呼ばれるまでに15年かかったようです。しかし世に広まってしまえば、日本中の子どもたちを魅了するまでに時間はかからず。
たちまち30作を超える人気シリーズになったというわけですね。
ちなみに名古屋市出身とのことで、愛知県在住8年目に入ろうとしている管理人としてはなんだか嬉しい。
残念ながら2012年の11月19日、83歳で亡くなられたということですが、その作品は管理人のような若造に、そしてさらにその子ども、孫世代へと受け継がれています。
形を変えてなお、受け継がれるクレヨン王国
管理人は今回初めて知ったんですが、クレヨン王国はアニメ化もされていた!1997年~1999年のおよそ一年半の間、夢のクレヨン王国というタイトルでNHKで放映されていたそうです。
原作シリーズの『クレヨン王国の十二か月』『クレヨン王国 新十二か月の旅』『クレヨン王国 シルバー王妃花の旅』をミックスした内容とのことで、改変もありながらですが発売から30年以上経ってアニメ化されるという快挙を遂げています。
↓公式サイトはこちら
そしてさらに、上でも挙げましたが今も定期的に新装版が出ています!
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オジサン的にはコレジャナイ感と言ってしまいましたが、今の子どもはオリジナル版でも新装版でも惹かれた方で読むといいですね!
↓の記事でも触れましたが、本が好きになるには子どもが自分の感性で本を手に取ることが一番大切だと思いますので。
作家になるには読書は必須条件? 読書嫌いで小説を書くのは無謀なのか
そして管理人が読んでいたのはこちらの版。
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今改めて見ると、間違いなく記憶の中にあった表紙。ノスタルジイ。
おわりに
今回はただひたすらに懐かしく、幼いころ夢中だった作品、クレヨン王国の十二か月をご紹介しました!管理人自身、本自体を振り返れたのも楽しかったですし、小さいころに何気なく読んでいた作品の作者さんについて知れたのも良かったなあと思います。
皆さんも、子どものころに読んだ作品を検索してみるといいかもしれません。
思いがけない出会いや、新たな発見があるかも…。
本日の記事は以上です。最後まで読んで下さりありがとうございました!@風邪の知人に「コロナウイルスちゃう?」と言ったら既読スルーされた管理人kei