人によって千差万別、正解はない部分といえますが、直木賞作家である天童荒太さんの練りこみ方がかなりインパクトのあるものだったため、ご紹介したいと思います。
この方法、天童荒太さんの創作に対する執念すら感じます。
また、後半では人物造形に役立つテンプレートもご紹介!
目次
天童荒太さんについて
まずは天童荒太さんについて、僭越ながら簡単にご紹介。天童荒太さんは1986年から活動しているベストセラー作家であり、永遠の仔や包帯クラブなどドラマ化、映画化された作品も多数あります。
2009年、悼む人で直木賞を受賞。作品の本数こそ多くはないんですが、そのいずれもが高い評価を得ている作家さんといえます。
登場人物が降りてくるまで
では天童荒太さんはどのように作品を書いていかれるのか、ご紹介していきましょう。ゴロウ・デラックスという、2011年~2019年まで放送されていた読書バラエティ番組に出演されていた時のお話です。
その人物を作り上げる
天童荒太さんは、作品を書くときは完全にその人物になって書いているそうです。いわゆる、人物が『降りてくる』というヤツでしょうか。口で言うとシンプルですが、天童荒太さんに関してはかなりのこだわりっぷりのよう。
まず、人物については経歴やエピソードを幼少のころからずっと積み上げていくという方法。こういう育ちをして、こんなエピソードがあったから今こういう考え方をするようになった…という方式です。
さながら、登場人物1人の自叙伝を書くというぐらいの気概を感じました。
ペインレスという作品では主人公が女医なんですが、女医さんが知っていて当然の用語は細かく把握するほど、自分自身にその人物を叩き込むのだとか。
よく登場人物の履歴書を作って設定づくりをする、という方法を聞きますがそれのさらに掘り下げた版といえるでしょう。
この方法に関しては、以前の記事でも紹介した便利なツールがありますので、↓で紹介させて頂くとして…。まずは天童荒太さんの方法をさらに見ていきます。
当事者と会わないルール
天童荒太さんは、作品を書くために取材をする際、当事者に会うことはしないというルールをもっているそうです。モデルとなる人物がいることで、その人が読んだときに傷つけてしまうかもしれない…そう思うことで、作品も切り込みづらい部分が出てしまう。
だから、当事者には合わず天童荒太さんの脳内で徹底的に1人の人物を作り上げるというわけです。
優しい人柄と、徹底したプロ意識が感じられるエピソードでした。
作者の自我を殺す
また、天童荒太さんのお話で印象的だったのは、「天童荒太の思惑が作品に匂ってきたら、それはもう作者が作品を歪めている」というものです。あくまで作り上げた登場人物が考え、動いた結果で物語が進んでいくことが大切。だから、
「そんなことしたら1巻で収まらなくなるやんw」 「こうやった方が話が早いのになあ…」
と自分でも思いながら、でも作者としての自我を殺しながら書いているんだそう。
ちなみにこの出演の時に紹介されていた作品、ペインレスは上下巻です。もしかしたら、1巻で終わらせたいのに…とぼやきながら書いていたのかもしれませんねw
1つの施設が運営できるまで
もう1つ、徹底的に人間のリアルを描くことにこだわっていることが伺えるエピソードがありました。それは天童荒太さんが番組内で公開された、ペインレスを書いたときの創作ノートの中身の濃さ。
ペインレスという作品の主人公である女医さんが務めるクリニックについて、事細かに設定されているのです。
どれぐらい事細かというと…院内の間取り図はもちろんのこと、看護師や事務員1人1人の業務内容、年収、シフトまで…
そこまでするから、主人公の生活や休日の過ごし方、行動が見えてくる、とのお話。
そこまでするから、その人物を降ろして書くことができるんですね。
登場人物設定を履歴書化するために、便利なフォーマット
ここまで、天童荒太さんの方法を見てきました。実際に自身の創作でも取り入れてみようと思った方も多いのでは?管理人も現在書いている作品でこの方法を使っています。さて、登場人物1人1人の設定を作る際、管理人が使って便利なフォーマットがあるのでご紹介します。
まずは、実際に画像で見て頂きましょう。
これが、エクセルなど計算ソフトで作られた登場人物設定用のテンプレートです。管理人はキングジムの計算ソフトで開いていますが問題なく使えています。
そのままテンプレを使ってもいいですし、管理人は少し項目をいじり、天童荒太さんを参考に登場人物の経歴を書いてみたりしています。
このテンプレートは↓のサイト様で公開されています。登場人物だけでなく、物語のストーリーラインを構成できるシートなども置いて下さっておりオススメです。
来世はもっと生きやすい世界
キャラクター設定書、世界観、プロットなど自分用に作成いたしました。 小説やマンガなど様々な創作活動にお使いください。 グ…
当ブログでも、過去の↓記事にて紹介させて頂きました。
まとめ
今回は、天童荒太さんの方法を中心に、登場人物について掘り下げる方法をご紹介させて頂きました!もちろん小説の書き方は人それぞれであり、これが正解というものは存在しないと思います。
ただ、実際に登場人物の経歴を考えてみる方法は管理人も実際にやってみたところ、人物造形も深まりますし脇を固める人物や展開の着想にもつながると感じました。
事業所丸ごとの設定を考えるところまでは、管理人の力量ではマネすらできませんでした…このあたりは自分で合うスタイルの模索が大切といえるでしょうね。
自分流のスタイルを確立するためにも、いろいろな方の方法を聞くというのは参考にも刺激にもなる、非常に有益なこととなります。
本日の記事は以上です。最後まで読んで下さりありがとうございました!@ゴロウ・デラックスが復活してほしい管理人kei
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