第50回日本推理作家協会賞(長編部門)候補
この小説を一言で紹介するなら…
ハマる人には大当たりする可能性アリ!ただ、その反対の可能性も…読む人によって感想が二極化しそうなどんでん返し極振りミステリー!
となりました。
目次
この小説が合いそうなのはこんな人
- どんでん返しが大好物。やられた!と言わされたい。
- 既存の作品とは一味違ったもの、既成概念を壊す作品を読みたい。
こんな人にはこの小説は合わないかも…
- ミステリーでも登場人物の魅力やストーリー性は大切だ!
- ミステリー作品に精通し、ミステリーを読み慣れている方
あらすじ(新装版裏表紙より引用)
雪に閉ざされた山荘に、UFO研究家、スターウォッチャー、売れっ子女性作家、癖の強い面々が集められた。交通が遮断され電気も電話も通じなくなった隔絶した世界で突如発生する連続密室殺人事件! 華麗な推理が繰り出され解決かと思った矢先に大どんでん返しが!? 見事に騙される快感に身悶えする名作ミステリー。
管理人的レビュー
ト書きで先の展開を解説…!? 興味を惹かれる特徴的な先導。
この作品が他の既存作品と比べて異色のものであることは、最初の1ページ目で分かります。最初の一文はこんな感じ。
まず本編の主人公が登場する
主人公は語り手でありいわばワトソン役
つまり全ての情報を読者と共有する立場であり
事件の犯人では有り得ない
主人公は語り手でありいわばワトソン役
つまり全ての情報を読者と共有する立場であり
事件の犯人では有り得ない
と、いきなり神の視点によるト書きのような文章から始まるんです。なんと、これが全てのパートの冒頭に挿入され、『このシーンでは重要な伏線があるから見落とすな』とか『第一の殺人が…』などご丁寧な説明が入るという斬新さ。
先の読めない展開で読者を引き込む、というミステリーの定石を早々に打ち壊してくるんです。
そして、意外とこれが面白い、次はどこまで言及してくるんだろうとか、なるほど、そういう情報を提示しちゃうのか…と1つのアクセントとして物語を先導します。
作者から読者へ、フェアな条件で挑戦状を突き付けられている気分になり、演出としても一役買っています。
どんでん返しが全て!騙された人は気持ちいい!……が。
星降り山荘の殺人はどんでん返し推しの作品です。なにせ、本の裏表紙で『大どんでん返しが!?』と銘打たれているほど。どんでん返しがあると先に言ってはダメなんでは…という感想ももちつつ、そんな売り文句があったから管理人が手に取ったのも事実。
そしてなるほど、確かにその売り文句に偽りのない大どんでん返し。これは、予想がつかなかった人にはクリティカルヒットしそう。
十角館の殺人や殺戮にいたる病など、名高い名作たちと並ぶか、もしかしたら超えるほどの衝撃を受けるかもしれません。
ただ…管理人としては衝撃はゼロでした。なぜなら、
犯人も真相のキモとなる部分も、全て分かってしまったから。それも秒殺で。
「あれはミスリードで、別の真相があるのでは…」と願いながら読み進めてしまいました。残念ながら、予想は覆されず。
管理人は正直、ミステリーを読み慣れているわけではないですがたまたま分かってしまったので…あらゆるミステリーを読んできた方だと、管理人同様に早々に真相に気づいてしまう可能性は高いかもしれません。
閃きひとつなので、気づかない可能性も十分あり、その場合は楽しめると思うんですけどね。
どんでん返しがウリの作品ですので、ここが割れてしまうとどうしても作品のもつインパクトは弱いものになる危険が…。
ハマる人には衝撃の作品、ハマらない人には平凡な作品…と二極の感想に分かれそうな印象です。
登場人物にはあまり惹かれず
真相が読めてしまったこともこの作品にハマり切れなかった要因の一つなんですが、もう一つグッと来なかった要素が。それは登場人物たちにいまいち感情移入できなかったこと。管理人が特に気になったのは、主人公の性格。
悪人ではないんですが、短絡的で人を見下しているところがあって、かと思えばちょっとした相手の言動でコロッと手のひらを返した態度になる。
主人公が、ヒロイン的存在とちょっといい雰囲気になるシーンがあったりするんですが、全然応援する気になれず。
むしろヒロインに「そいつはやめとけ!」と吹き込みたくなるぐらい。そういう意味での感情移入はしていたかもしれない…。
他の登場人物たちも、女子大生二人はずっとどっちがどっちか分からず、というかずっと「どっちでもいいか」ぐらいの扱いで読めてしまったり。
そして、ある人物の豹変ぶりも好きになれなかった…ここは終盤の展開に絡むので詳しくは挙げませんが。
ミステリーは謎や意外性が大事であり、キャラクター性なんてどうでもいいぜ!という方には問題ないと思いますが、気になる方には気になる部分と言えそうです。
管理人的お気に入り度:5/10点
最後に一言:「絶対騙されないぞ!」と構えて読むより、素直に読む方が楽しめるかも
本日の記事はここまでです。最後まで読んで下さりありがとうございました!@リトルグリーンモンスターとミセスグリーンアップルを言い間違える管理人kei
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