第28回小説すばる新人賞受賞
この小説を一言で紹介するなら…
主人公のキャラクターが強烈! ありきたりに飽きた方にオススメしたい、痛快青春復讐劇!
となりました。
目次
この小説が合いそうなのはこんな人
- ひと味変わった主人公の話が読みたい
- 少しナンセンスぐらいが心地いい
- 軽快で読みやすい文章が好き
- スッキリしたい
こんな人にはこの小説は合わないかも…
- 重厚なストーリーの作品を読みたい
- 主人公に共感しながら読みたい
- 成熟した大人の話を読みたい
あらすじ (文庫版背表紙より)
「お前絶対ぶっ殺すからな!」女子高生・小峰りなは、夜道で背中を切られながらも、逃げる人影に叫んだ。退院後、りなは犯人を探すが、糸口は「ラメルノエリキサ」という犯人が残した謎の言葉のみ。そんな中、新たな通り魔事件が起こる。二つの事件を結ぶのはりなの元カレで!? 完璧な母親に苛立ち、犯人への復讐に異常なまでの執念を燃やす少女が疾走する青春小説。
管理人的レビュー
斬新な主人公のキャラクターが魅力的! 登場人物もアクが強い個性派ぞろい
結論から言うと、本作品は面白かったです。では何が面白いかといえば、何より先に挙げたいのが主人公のキャラクター。女子高生なんですが、終始人を舐めていて小憎たらしい。
主人公がそんなんじゃ、読んでいて苦痛になってしまうじゃないかと思われるかもしれませんが、この小憎たらしさがなんとも言えず痛快。
常に毒を吐いて、やられたらやり返す主義と自負している割には意外とヘナチョコな一面も。このバランスが絶妙だと思いました。
世の中を斜めから見て大人びているようで、肝心なときには思いっきり素が出ます。案外ふつうの感性やリアクションを見せたりします。この、時折見せる普通さが良いアクセント。絶妙にリアルで、強烈なキャラクターながらも魅力ある人物と感じられました。
また、主人公のりなを取り巻く登場人物たちもなかなかアクが強い。特に、管理人的にはある登場人物の発言がクリティカルヒットしました。
ネタバレになってしまうので内容は伏せますが、管理人はそのセリフを見て久々にリアルに噴きだしてしまいました。
小説で噴きだすなんてなかなか無いわけですが、それぐらいインパクトがあり、且つ面白いセリフだったんです。
ぜひ、そのセリフに興味をもった方は一度本作を読んで頂きたいのですが…
ここまで書いておいてなんですが、主人公のキャラクターを痛快と感じられるかは大いに個人差があるようです。良くも悪くも強烈ですので、合わない人はとことん合わないかも。
特に共感を経て感情移入したい方は要注意ですね。全くもって感情移入型のキャラクターではありません。
ある程度客観的に、物語として楽しめる方の方が本作は楽しめるのではないかと思います。
ラノベ的…に見せかけて奥深い描写も光る。テンポが良く読みやすい文体
本作は女子高生による一人称の作品です。そしてテンポが良く、言葉選びも緩急が効いていて楽しい。上記の要素から、一瞬ライトノベル的に見えるような軽さと読みやすさがあります。ですが、それだけでは終わらない描写力も光ります。
主人公の口が悪いので子どものグチのような印象で読めてしまうのですが、ふとしたところで生々しさや未成年ならではの圧迫感、大人と子どもを行き来する理屈のようなものが垣間見えます。
このあたりを軽いノリのまま挟み続けているおかげで、漫画チックになりすぎず、かといって重苦しくなりすぎず、ちょうどいい塩梅で読める作品となっているように感じました。
本格ミステリーとして読むと肩透かしを食らうかも
ここまで挙げた通り、管理人は本作に対して好意的です。渡辺優さんの次作も読んでみたいと思いました。ただ、本作への期待の仕方によっては肩透かしを食らってしまうかもしれません。
本作は基本的に、主人公のキャラクターを楽しみサクッと痛快な読後感が魅力の作品だと思います。
ストーリー自体は主人公を刺した犯人を追いかけるミステリー調で展開していきますが、物語の大きなうねりを期待して読む作品では無いように思います。
肩書としては青春小説に当てはまるようですが、大きな感動や友情がフューチャーされる作品とも違います。
ちょっと病的なほどに復讐に執着する女子高生の、案外人並みなところもある等身大のお話です。
さあ、名作を読むぞ! というスタンスではなく、なんか面白いもんないかなあぐらいの感覚で手に取ることをオススメします。
それぐらいのノリで読むと、不思議や不思議。気軽に手を出したはずの本作が、思いのほか心に残るインパクトを残してくれるでしょう。
特に、ちょっと変わった作品が好きな方、王道ストーリーに飽きた方にはオススメです。
管理人的お気に入り度:8/10点
最後に一言:表紙がかわいかったので買ってしまったのは内緒
本日の記事はここまでです。最後まで読んで下さりありがとうございました!@友達をオンライン飲みに誘ったら酒を買う金が無いと断られた管理人kei
リンク