〇〇歳になってもデビューできないなんて、自分には才能がない。ついそう嘆きたくなってしまいます。なにを隠そう、管理人自身もそんな嘆きを漏らすうちの一人。
そして気になったのです。そもそも世に出ている作家さんは、何歳ぐらいでデビューしているものなんだろう。
というわけで、小説を書く間も惜しんで調べてみました(現実逃避)。
※ 完全に手作業で調べましたので、誕生日などの関係で若干誤差はあると思われます。
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今回調べた作家さん一覧
どういったラインナップにしようか迷ったのですが…結局完全に独断で選んでしまいました。押しも押されぬ人気作家さんに加え、管理人が好きな作家さんも混ぜてみたという感じの面々です。たぶん続編をいずれやりますので、ひとまずということで。
↓が今回調べた作家さんたち8名になります(敬称略)。
- 綾辻行人
- 伊坂幸太郎
- 小川洋子
- 恩田陸
- 辻村深月
- 東野圭吾
- 平山夢明
- 湊かなえ
ただ、そもそも日本人の苗字でア行が何割ぐらいいるのかとか、その辺の知識はないのでたまたまかもしれませんが。
その話はひとまずおいといて、各小説家さんのデビュー時の年齢を早速見ていきましょう!また、併せてデビューのきっかけも調べてみました!
綾辻行人さん
デビュー時 26歳デビュー作 十角館の殺人(1987年)
代表作 館シリーズ他
きっかけ 調べた限り明言されたものは確認できず…
1人目は綾辻行人さん。いや、しょっぱなからデビュー作がエグい方がきましたね。
今もミステリーの名作と問われれば挙げないわけにはいかない名作、十角館の殺人がデビュー作ですよ。原点にして頂点。
しかも26歳のときに書いたって…ただただ驚き。ちなみに大学在学中にデビューされたんですね。
在学中に結婚した、後に作家になる小野不由美さんのアイディア無くして十角館の殺人は生まれなかったと綾辻行人さんはたびたび話されています。
さらには小野不由美さんと出会った場である、京大推理小説研究会には同時期、我孫子武丸さんらも在籍していたとか。
トキワ荘みたいな研究会ですね…後世に残した影響がでかすぎます。
伊坂幸太郎さん
デビュー時 29歳デビュー作 オーデュボンの祈り(2000年)
代表作 重力ピエロ、アヒルと鴨のコインロッカー、ゴールデンスランバー他
きっかけ 新潮ミステリー倶楽部賞を受賞
続いてはこちら、伊坂幸太郎さん。押しも押されぬヒットメーカーであり、普段本を読まない人でも何かしら1つぐらいはタイトルを聞いたことがあるはず。
デビュー作はオーデュボンの祈り。面白かったです…デビューの時から独自の世界観をもっているっていうのがまたすごい。
そんな伊坂幸太郎さんがデビューしたのは29歳のころ。システムエンジニアとして働きながら新人賞に応募したそうです。
あの伊坂幸太郎さんでさえ、30代に入る手前でのデビューなんですね。管理人はすでに29歳を超えてしまっていますが、それでも少し勇気をもらえました。だって伊坂幸太郎さんですよ。10代で華々しくデビューとか、そんな感じかと勝手に思ってました。
専業になったのはデビュー後さらに数年経ってからとのことで…作家という職業の厳しさとともに夢も感じさせてくれる経歴です。
小川洋子さん
デビュー時 27歳デビュー作 完璧な病室(1989年)
代表作 博士の愛した数式、妊娠カレンダー他
きっかけ 海燕新人文学賞を受賞
三人目は初の女流作家さんの登場。博士の愛した数式が当時の最短記録である2か月でミリオンセラーになるなど、数々の作品を生み出してきた小川洋子さん。
デビューのきっかけは海燕新人文学賞を受賞したことだそう。驚きなのは受賞の8年前、同じ海燕新人文学賞に応募して一次選考で落ちていたこと。
8年間という時間は確かに大きいですが、一次選考で落ちた賞に再挑戦して新人賞を獲るとは。
もちろん、最初に送った作品がカテゴリーエラーだったり審査員の趣向に合わなかったりといった可能性もあるかもしれませんが、8年間でめちゃめちゃ伸びた説も考えられ、ロマンを感じます。前提として絶え間ない努力があったことは間違いないでしょうが。
そんな小川洋子さんがデビューをしたのは27歳のとき。気になったのは、1988年に海燕新人賞を受賞して1989年8月に長男を出産、同年9月に初の単行本を出版したという流れ。
ここの一年間が濃いすぎです。妊娠中も執筆してたりしたんでしょうか…細かいスケジュールは分かりませんが、激動の一年だったことは間違いないようです。
恩田陸さん
デビュー時 27歳デビュー作 六番目の小夜子(1991年)
代表作 蜜蜂と遠雷、夜のピクニック他
きっかけ 日本ファンタジーノベル大賞最終候補
四人目も女流作家さん。とにかく膨大な数の作品を書き続け、蜜蜂と遠雷、夜のピクニックと史上唯一2作品で本屋大賞を受賞している恩田陸さんです。
デビューは27歳のとき。このとき恩田陸さんは、忙しすぎて本を読めないことを不満に仕事を退職されていたそう。
六番目の小夜子が日本ファンタジーノベル大賞の最終候補に残ったことでデビューとなるわけですが、なんと編集者の方から再就職を勧められて実際に再就職されたそうです。
専業作家になったのはそれから6年後のこと。恩田陸さんでも始めは兼業作家だったんですね…なんという厳しい世界。そして、それでも書き続けた飽くなき情熱に脱帽。
辻村深月さん
デビュー時 24歳デビュー作 冷たい校舎の時は止まる
代表作 かがみの孤城、鍵のない夢を見る、ぼくのメジャースプーン他
きっかけ メフィスト賞受賞
またまた女流作家さん。今回ピックアップした作家さんを50音順に並べただけなんですけど、なんだか続きましたね。
鍵のない夢を見るで直木三十五賞を受賞、朝が来るはドラマ化され、今年映画化の予定。かがみの孤城は本屋大賞受賞。今一番ノッている作家さんと言えるかもしれません。
そして出ました、24歳でのデビュー!サンプルが少ないとはいえ、ここまでの最短記録。24歳って、もう普通に大卒で社会に出た人とそんなに変わらない年齢ですね。率直に言ってすげえ。
デビュー作の冷たい校舎の時は止まる、は大学生活の4年間をかけて書き上げた長編とのこと。各新人賞のスケールには収まらなかったとのことで、どれぐらい長いのか見てみるとなんと上中下の三巻構成。デビュー作としては異例ですね。
メフィスト賞は当時、枚数の規定がなかったと記憶していますがその懐の深さのおかげもあってのデビューとなったようです。
管理人はこの作品を読んだことがないのですが、あらすじを見るとかなりしっかりしたミステリーのよう。デビュー作から上中下巻のミステリーを書き上げるというのはちょっと、スケールが違いますね。
幼いころから読書の虜であり、ミステリー研究会があるからという理由で大学を選んだエピソードがあるなど、読むことも書くことも両方、本が大好きなんだということが伝わってくる経歴です。
東野圭吾さん
デビュー時 27歳デビュー作 放課後
代表作 容疑者Xの献身、百夜行、ナミヤ雑貨店の奇蹟他
きっかけ 江戸川乱歩賞受賞
六人目にご紹介するのは、あまり本を読まない人に好きな作家さんを尋ねると「東野圭吾とか好きですよ!」と名前を出される率70%の巨匠、東野圭吾さん。
他意があるわけではなく、それぐらいの知名度と作品の面白さを誇る作家さんということが言いたいわけです。
そんな、作家さんの中でも群を抜く知名度に昇り詰めた東野圭吾さんのデビューは27歳。
ここまで出てきた作家さんと比較しても、平均的なタイミングといったところでしょう。
東野圭吾さんの場合、注目すべきはブレイクするまでの期間ではないでしょうか。デビューからほどなくして専業作家となったものの、当初はなかなかヒット作に恵まれなかったようです。
世に名前が知れ渡るきっかけとなった『秘密』が発売されたのは1998年。デビューから実に12年後、39歳の時でした。
それから先の活躍は言わずもがな。日本映画で困ったら香川照之を出せばいいように、原作に困ったら東野圭吾の作品を映画化すればいい、という格言でもあるかのように映画化されまくっています。
今に至るまでも新鮮さと驚きをもった作品を書き続けられるのは、ブレイクまでの下積みの蓄積が成せる技なのかもしれません。
平山夢明さん
デビュー時 35歳デビュー作 Sinker―沈むもの
代表作 ダイナー、独白するユニバーサル横メルカトル他
きっかけ 調べた限りは不明…作家としてデビューする前から出版業界に身をおいていたんですね。
続いては管理人の大好きな作家さん、平山夢明さん。って言ってもまだ読んでない本がたくさん積読状態なので…どんどん読まねば。
平山夢明さんのデビューは35歳のときのこと。ここまで出てきた作家さんと違うのは、デビューの時点で出版業界で活躍されていたということが挙げられます。
Z級ホラーの評論を大量に手掛けていたんだとか。すごいマニアックな世界…失礼ですけど、食べていける世界なんですかね(本当に失礼)。
ちなみに1993年、32歳の時に異常快楽殺人にてすでにデビューをされています。どう扱おうか迷ったんですが、こちらはノンフィクションということでカウント外としました。
新人賞とは違った方向からキャリアをスタートされたわけですが、その筆力に間違いはなく。ダイナーなど高い評価を得る作品を生み出していったわけですね。
ラジオパーソナリティーをされたり映画評論をされたりと多才で多忙な方ですが、30代でのデビューから作品を発表するたびに評価を高めていく姿は、アマチュア作家から見ても勇気をもらえる気がします。
湊かなえさん
デビュー時 34歳デビュー作 聖職者
代表作 告白、ユートピア、贖罪、他
きっかけ 小説推理新人賞受賞
最後に登場して頂くのは、イヤミス(嫌な気分になるミステリー)の女王として君臨する湊かなえさんです。
デビューは34歳と今回出た作家さんの中では遅咲きの方。それでも十分すごいんですが。ちなみに初めは脚本家として賞をとっていたんですね。その前にはトンガに青年海外協力隊として出向していたとか…なかなかアクティブな経歴の方です。
話は脇道に逸れるんですが、管理人は個人的に湊かなえさんに一方的なご縁を感じております。まず、実家が同郷!
広島県の因島という瀬戸内海に浮かぶ島で湊かなえさんは生まれたんですよね。ちなみにポルノグラフィティも因島。すごいぞ因島、何かパワースポットでもあるんじゃないのか。管理人もあやかりたいぞ。
もう一点のご縁は、今から14年前のこと。当時管理人は、初めて書いた作品を野性時代青春文学大賞という新人賞に応募して一次選考を通過したんですよ。
結局二次で落ちるわけですが、初めてで通過したのがそれはもう嬉しくて、当時の選考結果が載っている野性時代2006年8月号はいまだに手元にとってあります。
先日ふと、その選考結果のページを見直していると…なんと湊かなえさんの名が。湊かなえさんがデビューしたのは2007年ですので、2006年といえばその一年前。
その後のベストセラー作家さんと選考経過でご一緒するなんて…なんというか、改めて新人賞というものの門戸の広さを感じました。
誰しもデビュー前は無名です。渾身の作品ひとつあれば、明日のベストセラー作家の道をこじ開けることができるかもしれない。目標地点は狭き門だけど確かに存在するんだぞ、と教えてもらえた気がします。


おわりに
今回は8人の作家さんをピックアップしてご紹介しました。少ない数の中ですが、20代後半デビューという方が多いんでしょうか。でもでも、調べていくと30代でデビューされた方も多く見つかりそうですね。さらにもっとずっと上、定年後にデビューされた方だっていらっしゃるようです。
人と比べてばかりでも仕方ないものですが、今回調べたことで小説家というものはいくつになっても目指せるものなんだと再認識しました。
自分の伸びしろを信じて、書き続けた者にだけデビューが見えてくるわけですね。偉大なる先輩作家さんたちに、勇気をもらうこととなりました。
今回の記事は以上です。最後まで読んで下さりありがとうございました!@アレクサと喧嘩中の管理人kei