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プロの作家さんたちはデビューまでに何年ぐらい小説を書いているのか?PART③

前回に引き続き、人気作家さんたちのデビューまでに書いた小説の経歴などをご紹介していきます。

今回はこちらの6名を追加!

(敬称略)
  • 大沢在昌
  • 住野よる
  • 三浦しをん
  • 村上龍
  • 森見登美彦
  • 綿矢りさ
   

 

ではそれぞれを見ていきましょう!

手計算であり且つ個人的に調べた範囲です。事実と異なる可能性がありますが、参考までということでご容赦下さい。

処女作という言葉には、生まれて初めて書いた作品という意味と、初めて世に出た作品という二つの意味があります。本記事では便宜上、生まれて初めて書いた作品という意味で処女作という言葉を使っています。

 

大沢在昌さん

デビュー時 22歳

デビュー作 感傷の街角

代表作   新宿鮫シリーズ、海と月の迷路、他

きっかけ  小説推理新人賞受賞

 誕生年  1956年

 処女作  1970年ごろ(14歳)

デビュー年 1979年

熟成期間  9年

最初は新宿鮫シリーズを始め、ミスターハードボイルドという名が相応しい大沢在昌さん。

中学生のころに書き始め大学卒業とともにデビュー、という経歴はなんというか感情移入しやすい流れだなと思いました。

なんだか人間味があるというか…前回の記事では小学校の頃から書いていたという作家さんが多く、神童とくくってしまいましたから。

それでいて、大学卒業後すぐに新人賞をとってデビューをされる辺りはさすがの天性のものを持ち合わせていたのだと思われます。

なんと中学生で初めて書いた作品がすでにハードボイルドだったとのことで…ハードボイルドって中学生が書けるものなのか、というアホな感想をもつのが精いっぱいでした。

ところで今でこそ人気作家としての地位を確立している大沢在昌さんですが、デビューから11年間は一度も増版がされないという大苦戦を強いられたのだとか。

1990年に悪人海岸探偵局が初の増版となり、同年に新宿鮫も出版。このミステリーがすごい!の1位に輝き、そこからブレイクしていったんです。デビュー後も人気作家までの道のなんと険しいこと…。

大沢在昌さんを調べてもうひとつ衝撃的だったのが、なんと大沢在昌さん、今も手書きで原稿を書かれているとのこと。

そのスピードは1時間で400字詰め原稿用紙6~7枚ほど! 管理人がパソコンで書くよりはるかに速いぜ…ちょっとその胆力と集中力を分けてほしい。

 

 

住野よるさん

デビュー時 ?歳

デビュー作 君の膵臓をたべたい

代表作   君の膵臓をたべたい、青くて痛くて脆い、他

きっかけ  投稿webサイト 小説家になろうより

 誕生年  ?年

 処女作  高校時代

デビュー年 2015年

熟成期間  ?年

二人目はなんといっても「君の膵臓をたべたい」でのデビューが鮮烈だった住野よるさん。その後の作品も、「青くて痛くて脆い」が映画化され2020年8月から公開予定と、切なく心に残る作品を作り続けられています。

住野よるさんの経歴でまず目にいくのは、なんといってもデビューのきっかけ。

あの「小説家になろう」に投稿したところから「君の膵臓をたべたい」は話題を呼んで大ヒットにつながたわけですね。

無数の作品が投稿され続ける「小説家になろう」ですが…良いものは埋もれずにきっちりと評価されるということの裏付けとなるかもしれません。

そんな住野よるさん、実は年齢不詳の謎多き作家さん。ただ、ペンネームのセンスなども含め若い方であろうと推測されます。

執筆活動を始めたのは高校のころということですので、短期間でデビューを果たした作家さんといえそうです。

 

 

三浦しをんさん

デビュー時 24歳

デビュー作 格闘する者に〇

代表作   まほろ駅前多田便利軒、舟を編む、他

きっかけ  就活中に出版社から文才を見いだされて

 誕生年  1976年

 処女作  高校生のころ (17歳と仮定)

デビュー年 2000年

熟成期間  7年

三人目は三浦しをんさん。まほろ駅前多田便利軒で当時史上4人目となる20代での直木賞受賞し、舟を編むは本屋大賞に選ばれるなど数々の人気作を生みだした女流作家さんです。

この方もまた、新人賞とは違ったルートからのデビューでした。

きっかけはなんと就職活動。三浦しをんさん自身は、当初は編集者として就職することを希望されていたんだとか。

そこを早川書房さんの入社試験にて、面接官を務めた編集者の方から才能を見出されたというのです。

といってもいきなり作家としてデビューを果たしたのではなく、バイトをしながら試行錯誤をし、作品を書き続けてスタイルを確立していったようです。

驚きなのは編集者さんの慧眼と信念ですね…村上達朗さんという方で、ボイルドエッグズ新人賞の主催者でもあるボイルドエッグズを創設した方なんです。

文壇を盛り上げたいという意気と、才能を埋もれさせないという執念を感じます。入社試験で見つけた原石が、後の直木賞作家となるんですから…プロってすごい。

 

 

村上龍さん

デビュー時 24歳

デビュー作 限りなく透明に近いブルー

代表作   コインロッカー・ベイビーズ、ラブ&ポップ、半島を出よ、他

きっかけ  群像新人文学賞受賞

 誕生年  1952年

 処女作  1972年ごろ

デビュー年 1976年

熟成期間  4年

続いては最近ではカンブリア宮殿での姿がおなじみとなっている村上龍さん。もちろんそもそもは衝撃的な作品を多数生み出したベストセラー作家さんです。

数々の小説作品のすごさは言わずもがなですが、中学生を対象にした書籍、13歳のハローワークも100万部を超えるベストセラーとなりました。学校の図書館に置いてあるorあったという方も多いのでは?

そんな村上龍さんが小説を書き始めたのは大学に入学した20歳のころ。

その4年後にデビューするわけですが、デビュー作である「限りなく透明に近いブルー」はいきなり芥川賞を受賞するという鮮烈な船出。

バズりましたねえ…ってそんな安い言葉で片づけちゃいけない快挙です。

 

森見登美彦さん

デビュー時 24歳

デビュー作 太陽の塔

代表作   夜は短し歩けよ乙女、太陽の塔、熱帯、他

きっかけ  日本ファンタジーノベル大賞

 誕生年  1979年

 処女作  小学生から

デビュー年 2003年

熟成期間  10~15年ほど

五人目は森見登美彦さん!

現実と幻想的なファンタジーを融合させた世界観を実現させる森見さんは、マジックリアリズムの体現者との異名をもち熱狂的な支持者も多い作家さんです。

時として押井守さんの世界観を連想させるとも評され、森見登美彦さん自身、押井守さんのファンであることを話しています。

そんな森見登美彦さん、デビューは大学に在学中書いた作品が新人賞を受賞したという経歴。

小説は小学校時代から書かれていたとのことですが、初めて書いた創作物は紙芝居だったとか。小学校3年生で作ったそうなんですが…ちょっと読んでみたい。

もうひとつ森見登美彦さんで気になったエピソードといえば、お父さんとの関係。医者になるよう勧めるお父さんに対し、新人賞を獲るという結果を返した森見登美彦さん。

お父さんは「夢は破れるものなのにこんなことになるとは…」と驚き、喜びはしゃいだとのこと。厳格そうなエピソードと、受賞したときのギャップがいじらしいお話でした。

 

 

綿矢りささん

デビュー時 17歳

デビュー作 インストール

代表作   インストール、蹴りたい背中他

きっかけ  文藝賞受賞

 誕生年  1984年

 処女作  高校生

デビュー年 2001年

熟成期間  ほぼ無し

最後は綿矢りささん。19歳のとき「蹴りたい背中」で芥川賞を史上最年少受賞し、連日テレビで取り上げられ一躍時の人となりました。

その後、大学在学中はスランプにも悩まされたとのことですが3年ぶりの長編「夢を与える」を出版以降はコンスタントに作品を書き続けられています。

管理人はインストールが好きでした…小説も映画も好きで、映画版はDVDも買ったほど。

さて綿矢りささんのデビュー前の経歴ですが…なんと高校生でテストからの現実逃避でインストールを書き始め、そのまま受賞してデビューされたとのこと。

次作の蹴りたい背中で芥川賞受賞ですから…波に乗りまくったわけですね。それでも以降3年間、作品の出版が途絶えるわけですから…創作って難しい。

というか、メディアからの扱いが苦しめてしまったところもあるのかもしれませんね。端正な容姿も話題となり、文壇のアイドルなどと呼ばれていましたから…本人としては不本意なだったとしても不思議ではありません。

それでも紆余曲折経て、復活を遂げた姿は目を見張るものがあります。今後のさらなる活躍に注目です。

 

 

おわりに

なんだか、前回も今回もデビューが20代中盤以前の作家さんに偏りました。

最初に行った調査記事だとわりと20代後半以降の方も多かったので、この差は驚き。

処女作~プロデビュー作までの期間については、過去に12名の作家さんで集計を行いました。次回、今回得た結果を上乗せ+αの検証をして総まとめとしたいと思います!

 

本日の記事はここまでです。最後まで読んで下さりありがとうございました!@最初に痔を「ぢ」と表記した人にノーベル文学賞をあげたい管理人kei