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プロの作家さんたちはデビューまでに何年ぐらい小説を書いているのか?PART②

過去記事にて、作家さんのデビュー時の年齢ときっかけを調べてみました

自分がどういったスタンスで作品を書いていくか、計画を練る上でも先人たちが通った道はタメになるもの。

というわけで、以前の記事は計16名の作家さんのデビューまでの熟成期間(処女作完成から作家デビューまでの期間)ときっかけを調べました。

以前はデビューのきっかけと熟成期間を別記事にしていましたが、今回からは1つの記事にまとめてご紹介!お得ですね。  

今回と次回、6名ずつの計12名を取り上げました。実はいずれ、一覧表にして作家さんのデータベース化したいと考えております。

ではでは、今回調べさせて頂いたのはこちらの6名。

 

(敬称略)
  • 朝井リョウ
  • 乙一
  • 島本理生
  • 西尾維新
  • 村上春樹
  • 米澤穂信
 

ではそれぞれを見ていきましょう!

手計算であり且つ個人的に調べた範囲です。事実と異なる可能性がありますが、参考までということでご容赦下さい。


処女作という言葉には、生まれて初めて書いた作品という意味と、初めて世に出た作品という二つの意味があります。本記事では便宜上、生まれて初めて書いた作品という意味で処女作という言葉を使っています。

 

 

朝井リョウさん

デビュー時 20歳

デビュー作 桐島、部活やめるってよ

代表作    桐島、部活やめるってよ・何者 他

きっかけ  小説すばる新人賞受賞

誕生年   1989年

処女作   小学生のころらしい(仮に10歳とした)

デビュー年 2009年

熟成期間  10年

 

お1人目は20歳にしてデビューし、『桐島、部活やめるってよ』は映画がヒットしたこともあって、誰もが名前ぐらいは聞いたことのある作品としてとどろいている朝井リョウさん。

デビュー当時は早稲田大学に在学中でした。映画がヒットしたのは3年後の2012年。普通に考えれば、最初から専業作家にならなかったのは収入的な不安から…?

と思われそうですが、この方は違うようです。

 


(c) Recruit Co., Ltd.

大学在学中に『桐島、部活やめるってよ』で作家デビュー。大ヒットを記録するも、普通に就職活動を経て企業へと入社。会社員と作…



↑のインタビュー記事に詳細がありますが、できれば作家と一般の仕事を兼業して継続したいというのが朝井リョウさんの考え方のよう。

過去記事にでてきた、コンビニ人間の作者村田沙耶香さんと同じ考えですね。その背景はまた違うようですが。

いずれにしても、仕事を続けることで作品に生かせるという考え方は天性のクリエイターというか、常人離れした感覚があるようです。

リスペクトしたいけどマネできねえ…そんなすごさを感じる経歴でした。

余談ですが、小学生のころから小説を書いていたという朝井リョウさん。実は幼稚園のときにはすでに、絵本を描いていたとのこと。

どんな早熟な幼稚園児だ…人生2周目説を疑わずにはいられません。いや、ほんとスゴイ。

 

 

乙一さん

デビュー時 17歳

デビュー作 夏と花火と私の死体

代表作   GOTH、ZOO、暗いところで待ち合わせ、くちびるに歌を 他

きっかけ  ジャンプ小説大賞受賞

誕生年   1978年

処女作   16歳

デビュー年 1996年

熟成期間  1年

 

お二人目も若くしてデビューした作家さん、乙一さん。

作家になるまでに努力をしていない人などいるはずがなく、安易に天才という言葉を使うのは抵抗がありますが、これだけ早期にデビューして書き続けられるのは天才肌タイプの作家さんといえるのかも。

朝井リョウさんも含め、努力の仕方も込みで天性の作家気質なのかもしれません。

記録で確認できる限り、乙一さんは処女作から2本目の作品が『夏と花火と私の死体』だったよう。恐るべし神童…。

ちなみに乙一さんが小説の魅力を知ったのは、高校生のころに読んだスレイヤーズからなんだとか。乙一さんにとって、運命の一冊といえるものかもしれませんね。

 

 

島本理生さん

デビュー時 18歳

デビュー作 シルエット

代表作   ナラタージュ、ファーストラブ、Red

きっかけ  群像新人文学賞優秀作入選

誕生年   1983年

処女作   小学生のころ(10歳と仮定)

デビュー年 2001年

熟成期間  8年

三人目は島本理生さん。ナラタージュは『この恋愛小説がすごい!』の2006年版で1位を獲得しベストセラーに。

最近では2018年にファーストラブが直木三十五賞を受賞。Redは実写映画化され2020年2月21日から公開中と波に乗っている作家さんですね。

なんと島本理生さんも小学生から小説を書き10代でデビューした作家さん…。記事を作るうえで、作家さんは無作為に選んでいるつもりですが今回は若くして頭角を表した作家さんが多くなっています。

自然と売れっ子作家さんばかり登場してくるので不思議ではないことかもしれませんが、過去記事で登場した東野圭吾さんや貴志祐介さんといった熟成期間の長い作家さんが恋しくなってきたりもしますw

 

 

西尾維新さん

デビュー時 20歳

デビュー作 クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い

代表作   物語シリーズ(化物語他)、戯言シリーズ他

きっかけ  メフィスト賞受賞

誕生年   1981年

処女作   不明

デビュー年 2002年

熟成期間  不明

お次は西尾維新さん。この方も若くしてのデビューですが、西尾維新さんに関してはなんというかイメージ通りな気も。

多用な作品の数々だけでなく、漫画「めだかボックス」の原作まで手掛けてしまう多才ぶりの他、とにかく筆が速いことが有名で都市伝説化しているともいえる作家さんです。

そのスピードは驚愕の1日3万文字。400字詰め原稿用紙に換算して70枚オーバーを一日で埋めてしまうという計算。それでいて質が高い作品を書き続けるのだから恐ろしい。

余談になりますが、当ブログで過去に調べた際、プロ作家さんの最速は森博嗣さんではないかという結論になりました。  

その速度はなんと1時間で6000文字!これはワープロ検定初段に匹敵する数字…ここまでくるともはや人間業とは思えません。

西尾維新さんに話を戻すと、デビュー前に書いていた作品などの情報は見つけられませんでした…ただ、やはり当時からものすごい速筆だったという逸話の数々がみられます。

意外な事実としては西尾維新さん自身はもともと漫画家を志望していたそう。ただ、絵が思うように上達せず表現手段を文章に変えて今の活躍に至っているとのこと。

漫画描けねえ!と思ってそこで止めなかったのがすごいですね…発想と努力の天才といえる方が、ここにもまた一人といったところでしょうか。

 

 

村上春樹さん

デビュー時 30歳

デビュー作 風の歌を聴け

代表作    ノルウェイの森、海辺のカフカ、ねじまき鳥クロニクル他

きっかけ  群像新人文学賞受賞

誕生年   1949年

処女作   1978年ごろ

デビュー年 1979年

熟成期間  1年以下

5人目はもはや説明不要のこの方、村上春樹さん。なんか、どの作家さんについてもそうなんですが村上春樹さんについては特に説明することが恐れ多い。

村上春樹さんはデビューこそ30歳とやや遅咲きであるものの、「そうだ小説を書こう」と思い立った翌年にはデビューをしています。

それまでは自営でジャズ喫茶・バーを営んでいたとか。持論である「文章はリズムが一番」という言葉の裏には、ジャズ喫茶をやっていたころの体に染みついた音楽性が生きているのだそう。

一見すると音楽と文芸は両極にあるようにも思えがちですが…表現って奥が深い。

 

 

米澤穂信さん

デビュー時 23歳

デビュー作 氷菓

代表作   氷菓、インシテミル、満願、他

きっかけ  角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞受賞

誕生年   1978年

処女作   1989年 (11歳)

デビュー年 2001年

熟成期間  12年

最後は米澤穂信さん!アニメ化された氷菓や、映画化されたインシテミルなど、メディアミックスされた作品も多くミステリーファンからライトノベルファン、アニメファンなど幅広い支持層をもつ作家さんですね。

米澤穂信さんも23歳と若くしてのデビュー。そして初めて小説を完成させたのも11歳と、今回はとことん早熟な作家さんが多かったですね。

大学卒業後、2年間だけ作家としてチャレンジしたい!と両親を説得したとのことで…熱意の大切さを感じさせてくれる経歴です。

また、米澤穂信さんはデビュー前から汎夢殿というサイトを運営し作品を発表していたことも特徴的です。

本ブログで扱ってきた作家さんの中では、道尾秀介さんに続いてお二人目ですね。

作品を人目に触れさせ、反応をもらいながら書くというスタイルは、自身のサイトのみならず投稿サイトの充実によって一般的になってきました。

それはそうと、話からそれますが現在の汎夢殿を拝見したところ…京都アニメーションさんの事件に対するコメントは胸が詰まるものがありました。


A study in gray

米澤穂信の仕事について…



本当に、ただただ悲しい。

 

 

おわりに

今回は前回と違い、若くしてデビューした作家さんが目立つ回となりました。次回も6名の作家さんを追加検証する予定ですので、母数が増えると少しずつ全体像が見えてきそうです。

いずれにしても、月並みな結論にはなりますが作品を書く理由も成り立ちも人それぞれ…自分なりのスタイルで書いていくことが、それぞれの目指すところの道となりえるようです。

 

本日の記事はここまでです。最後まで読んで下さりありがとうございました!@電光石火の四面楚歌。管理人kei