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【懐かし小説列伝④】リング / 鈴木光司 ジャパニーズホラー界の圧倒的金字塔。貞子は本気で怖かった…

管理人が昔読んだ懐かしい小説を、あえて読み返さずに当時の記憶のまま語ってみようという企画の第4弾です。

過去記事は↓より  

4回目の今回で取り上げるのは、貞子というホラー界のカリスマを生み出した作品、リング。

この作品の大ヒットと映画化により、今では考えられないほど日本中がジャパニーズホラーに夢中だったあの頃。

リングについてご紹介しながら振り返っていきたいと思います。

 

 

今の貞子のイメージ

あなたは、貞子と聞いてどんなイメージを思い浮かべますか?

怖い?  意外とかわいい? もはやギャグ? 萌える?

気になった管理人は先日、Twitter上でアンケートをとってみたのです。

その結果がこちら!



答えて下さった方、拡散して下さった方、ありがとうございました!

さて結果を見てみると…怖いが1位!よかった、ジャパニーズホラー界のレジェンドの面目躍如。

と、言いたいところですが…『もはやギャグ』と『萌える』を足すと50%になり、怖い派と同数に!

トランプなカエル貞子さえ萌えとして扱ってしまうなんて、さすがジャパニーズ。未来に生きてるぜ。

 

時の流れとは恐ろしいもの…当時はあんなに怖かった貞子が、半数からいじられているような状態。

そもそもアンケートの選択肢を作ったのは管理人なんだから、管理人もいじってしまっている。

考えてみればリングが社会現象といえるほどのブームとなったのは1998年ごろ…ということは、当時5歳だった子どもでも今や27歳。

20代中盤より下の年代からすれば、貞子といえばなんかB級ホラーの新作がたまに出るけど滑ってるヤツ、とか始球式でやたらいい球を投げるピッチャーぐらいの認識なのかも。

パチンコの台を一番に思い浮かべた方もいたりして。

それどころか、貞子で薄い本がたくさん出ている始末…管理人も昔、テレビから出ようとして抜けられなくなって、あとはエロエロ男子の餌食…という展開の本を見た記憶が。



バックダンサーのせいで余計シュールな絵になっている気がする始球式の図

 

 

作品概要

2020年となった今や愛されキャラになっている貞子ですが、当初は本当に怖かった…ということでまずは作品初期について振り返ってみましょう。

 

「そのビデオを見ると、一週間後に死ぬ」

1991年、のちに800万部の大ベストセラーシリーズの第一作目、リングが発売されました。

当初はそれほど発売部数も伸びなかったそうですが、次第に口コミで広がっていき瞬く間に日本中を巻き込むムーブメントに。

それどころかハリウッドで映画化され、アメリカでジャパニーズホラーブームを巻き起こすまでに至ったという衝撃。

人から人へと伝播し増殖し続けたさまは、奇しくも作中の貞子の呪いのよう

一本の呪いのビデオが巻き起こした恐怖が、海を越えるまでの社会現象に至ったのです。

 

…800万部ですよ800万部。ポケモンの初代赤・緑が800万本ですからね? 宇多田ヒカルさんの伝説的アルバムのFirst Loveが800万枚ですよ?

若い方にも分かるよう、最近の事例を出したいけれども昨今には800万人に売れ渡った作品というものがどのメディアを見渡してもなかなか無い!

ちなみに2019年の日本国内で一番売れたゲームソフトはポケモン ソード・シールドの298万本!

それの倍以上、というと少しすごさがイメージできるでしょうか? というかポケモンすげえ。

あなたがもし初代リングを見たことがない、読んだことがないのであれば、この機会に手にとってみるのもよいかも。

小説でも映画版でも、あのおどろおどろしい恐怖は原点にして頂点ともいえるクオリティですよ。

 

 

管理人とリング

懐かし小説列伝PART3の記事にて、生まれて初めて読んだ小説を『クレヨン王国の十二か月』とご紹介しました。

クレヨン王国の十二か月は児童文学というくくりになるわけで、当然子どもが読むことを念頭に置いて書かれた作品です。

では、児童文学ではない、大人をターゲットとした小説で管理人が生まれて初めて読んだ作品はというと…

実はそれが、今回紹介する『リング』なんです。

はっきりと読んだ時期を覚えているわけではありませんが、映画が公開されて日本中がリングブームに沸いていたころで、調べると1998年であり管理人は中学校1年生ぐらいのころ。

別記事で、8歳やら9歳で処女作を書いた作家さんたちがいることに触れましたが、それを思うとかなり遅いデビューのような。いや、それはその方たちがすごいのか。  

かくして読み終えたkei少年の感想は…
オオカミが読書
kei
…怖い気もするけど、むっちゃ怖くはないかも
というもの。なんじゃその腑抜けた感想は!もっといろいろあるだろう!

と若き日の自分に問いただしたいところですが、怖かった記憶が無いもんは無いんだから仕方ない。

ただ覚えているのは…単純に面白い!続きが気になる!というイメージ。今思うと、読み口としてはミステリーのような感覚の方が強かったように思います。

実際、小説版はミステリーだという話もよく言われていますね。

中学生の想像力や読解力では、怖さを感じるには至らなかった模様。

ちなみに映画版はトラウマレベルで怖かったです。というか、両親とビデオレンタルして自宅で見ていたんですが貞子がテレビから出てくるシーンでギブアップして別室逃亡しました。

なので初見はちゃんと最後まで見ていないという…チキンな中学生です。

貞子の呪いを解くには、ダビングして二人以上にビデオを見せる必要があるわけですが…世界中にビデオが広がったらどうしようとか妄想していましたね。
アイス食うオオカミ
kei
見ていない人間がいなくなったら、二週目の人に見てもらえば生き延びれるか…そうすると全世界の人が週一で呪いのビデオを見続ける生活になるのかな
…などとアホなことを考えたり。

貞子が始球式をする時代が来るとは、夢にも思わなかった中学時代でありました。

 

 

社会、他作品に与えた影響

記憶が正しければ、映画のリングが大ブームになった段階でも、ジャパニーズホラーは海外の映画とは違う独自の恐怖体験を生み出し、世間に認知されていました。

女優霊などはリングよりも前の作品ですが、これも怖いことで有名…それもそのはず、リングと同じ中田秀夫監督でした。

↑はハリウッドでリメイクされたバージョンの女優霊。
しかし、リングが大ヒットしてからのホラーブームは尋常じゃなかった。
死国、催眠、輪廻、仄暗い水の底から、着信アリなど多数のジャパニーズホラー作品が当たり前のようにヒットしたものです。
タイトルの羅列を見て、懐かしい!と心が弾んだ方も多いのでは?
中でも呪怨は、ビデオ映画から始まったにも関わらず口コミから大ヒット作品に。リングと双璧をなす存在にまで上り詰めました。
もしリングが無い世界だったら、これらの後発作品はここまで人の記憶に残る存在にならなかったかもしれない…。
リングという作品と、貞子が生み出した影響力の強さが伺えます。


 

シリーズと貞子のその後

さて、ここまでどちらかというと映像化作品の話がメインになっています。小説ブログでありながら無視できないほどのインパクトが、当時の映画化にはありましたからね。

映像化といえば映画が一番有名ですが、他にもテレビで連続ドラマ化されたり。長瀬智也さんや柳葉敏郎さんが出ていたり。管理人はリアルタイムで見てました。全話の平均視聴率は驚きの19.9%!

他にもハリウッドや韓国でリメイク作品が作られたりと、何度も形を変えて世界中のホラーファンに恐怖をもたらしました。

日本国内では、

リング ⇒ らせん ⇒ リング2 ⇒ リング0 バースデイ ⇒ 貞子3D ⇒ 貞子3D2 ⇒ 貞子vs伽椰子 ⇒ 貞子

2020年の時点で8本も映画が作られている!

管理人の記憶では、リング0バースデイぐらいまではホラー界のカリスマ感があったような。

実際、リング0バースデイで映画シリーズのリングは一度完結しているわけですしね。それから12年後の2012年、貞子3Dとしてシリーズは掘り起こされたというわけです。

 

…と、いう映画化の流れなわけですが、ここにひとつ大きな誤解が隠れている気がします。

もしかして、貞子3D以降は鈴木光司さんの小説から離れた、映画化オリジナル版だと思っていませんか?

貞子3Dが公開されたとき、「小説版のリングシリーズはとうに終わっているのに、12年ぶりに引きずり出されて貞子も気の毒に…」なんて感想をもった方は少なくないのでは?

実はこれは大きな誤り。

タイトルが「貞子3D」なんて大胆なものになってしまったのでそう思えないかもしれませんが、実際には鈴木光司さんの小説が原作になって作られた映画なわけです。

ただ、もはやここまでタイトルが変わると訳が分からん…ということで、ここはいっちょ一覧表にまとめてみることにしました。

 

リングシリーズ、原作小説と映画の関係一覧表

原作タイトル 刊行年 映画化タイトル 映画公開年
リング 1991年 リング 1998年
らせん 1995年 らせん 1998年
リング2 (映画オリジナル) 1999年
ループ 1998年
バースデイ 1999年 リング0バースデイ 2000年
エス 2012年 貞子3D、貞子3D2 2012年、2013年
貞子vs伽椰子(映画オリジナル) 2016年
タイド 2013年 貞子 2019年
 
kei
改めて見ると、小説も映画も見直してみたくなってきた…
 

エスやタイドといった原作作品については見落としていた方も多いのでは? ちなみに2019年に公開された映画「貞子」は、リングシリーズとしては14年ぶりに中田秀夫監督がメガホンを取った作品ですよ。

 

 

おわりに

いかがでしたか? ジャパニーズホラーブームを巻き起こしてから20年経ち、パチンコに萌え化にと忙しい貞子さんですが、原点は怖さとストーリー性を併せもった、カリスマ的な魅力をもつ人物なんです。

改めて今、一作目から振り返ってその変遷を追うのもよいかもしれませんね。

 

 

本日の記事は以上です。最後まで読んで下さりありがとうございました!@この記事を書いてからホラー作品の広告だらけになって怯えている管理人kei